2347年

大丈夫

BLAME!劇場版を観た

BLAME!劇場版を何回か観たので感想。普通にネタバレをやっている。以下内容です。

 

 

公開直後に投稿しろよ、という内容になってきている。
一番書きたい劇中のインターフェース云々については後日投稿。

 

mishima0013.hatenablog.com

1:個人の感想

映像化成功やんけ

今回の劇場化はこれぞBLAME!と言わんばかりの無限に続く巨大階層都市と人間との対比、スケール感、都市を構成する素材の質感、都市を暗く彩るライティングは3DアニメーションならではのものでBLAME!の根本的な世界観がちゃんと映像化されて感銘を受けました。

CGWORLD6月号でも特集されていましたが、背景等を2Dのパンで表現するのではなく一から作っているなど様々なこだわりが説明されてました。3Dアニメーション技術に関して一切の知識がなくても楽しめる内容です。これだけでも2000年代に映像化した過去2作のBLAME!黒歴史が霞んでいきました

サナカン、シボのメカニカルな肉体はまさに3Dアニメーションの賜物でした。シボさんが回転するネットスフィア接続端子の足場を歩く謎のランウェイシーンではそのシュールさと美しさに変な声が出ました。また、サナカンの表情、特にサナカン戦のラストでシボの削除に成功したサナカンの満足げな微笑も、3Dアニメーションの表現の進化を感じ取らずにはいられません。顔のいい女について言及しました。

 東亜重音の功績

また、遠征する一流音響監督でおなじみの岩浪音響監督による、各映画館ごとにセッティングしたという音響設定、通称-東亜重音-による音響演出は各映画館ごとの特色を作品を彩るという驚きの構造。僕自身決して耳が利く方ではないのですが違いは明らかで、ドルビーアトモスはもちろんのこと、同じ7.1ch放映の立川シネマシティとチネチッタ川崎とで比べてみると同じシーンでも序盤に襲ってくる駆除系の走行音、重力子放射線射出装置の発射されるシーンなどは受ける印象が異なってくると思います。シドニア総集編でもあった 体感でも伝わるウーファーは健在でした。

 

NETFLIXもいいぞ

今作品は劇場と同時にNETFLIXでも公開、という近年増えつつある上映スタイルを展開しています。

NETFLIXの良さは一時停止が容易にできるので、劇中、瞬間的に表示されがちな霧亥、サナカンの網膜、電基漁師のヘルメットのデスクトップUIなどをまじまじと眺めることができます。これは本当に凄いとしか言いようがないくらいに作りが細かいです、これが一番感動したかもしれないという具合。これについての記述はのちほど。一部言うと霧亥がサナカンに殴り込むシーンで霧亥視点でサナカンの顔ズームしてディスプレイにノイズが入ったあとに1秒もないカットですがサナカンの視点に切り替わって不法居住者を観測しています。あれ、NETFLIXの為のカットでしょ、と言いたくなるほどの細かさ...

 

あとNETFLIXでは終盤での集落襲撃シーンで爆音によって聞こえなかったシーンなどを補強できます、逆にマスクされるほどの低音を放つ爆音上映が恐ろしくなってきますね。

 そして本題

無限に続く都市という世界観とその精密さ、劇場アニメとして最先端をいく迫力...僕はベタ褒めしている劇場版BLAME!ですが皆さんはどう感じ取ったでしょうか?

 

 2:なぜ評価が分かれたのか -ハードSFを大衆映画として仕上げる限界-

"生き延びろ"って何..?

原作ファンの方はよくわかると思うのですがこの作品を劇場化させるにあたっての難しさは映像技術と同時に作品を構築する世界観と登場人物とその種類によるストーリー難解さにあります*1。その複雑さの全て理解しきれない荒廃した未来観が何よりの魅力ではあるのですが映像化するとなると何よりも難しく2000年代に映像化を試みた過去2作も映像の質自体にあるが、内容という壁にもぶつかって結果になってしまった気もします。

原作のうち一致しているのは終始口数の少ない霧亥、裏切らないシボさんの初登場シーン、見事にフラグを回収する「置いていったりしないわよね」、原作でもカラーだった統治局と予備電子界などの原作でも見覚えのあるシーンを回収していっています。特に唐突にシボさんが言う17526000時間(約2000年)の件は相変わらずの時間単位で笑いました。

 

インタビューでも語っていますが劇場化にあたってストーリーは意図的にかなり改変されています*2。どちらかというと「世界観こそ一致しているが、原作中のエピソード、専門用語、印象的なコマ、の要素からできたアンソロジーかオマージュ作品」という見方のほうが適切かもしれないですね。それがある意味、今作のキャッチコピー"生き延びろ"に出ていました。

 

明らかな相違

超構造体は集落の壁と霧亥,サナカンの顔に利用されているだけ、東亜重工はエンドロールでしか発見できませんでしたし、特にシャキサクがシフォンケーキになっていたところに衝撃を受けた方も多いと思います。現に建設者はその存在があるというだけで30秒ほどしか登場せず、珪素生物は概念となっている*3。霧亥と旅をともにしないシボというエンディングにはどこかショックをうけた人も一定数いるかと思います。

原作ファンが覚えた違和感は、5月上旬、まだ全国上映される前でコアなファンが多いとされる先行上映が行われていた当時の映画.comの評価が5点満点中の2点台だったことで現れていたと思います。

2Dでやれよ派

またある友人曰く「あの3Dアニメーションの出来は恐ろしいけど、漫画の荒々しいタッチ、都市とか、とくに駆除系のダウンロードされるときのあの勢いある線はエフェクトではなく2Dでやってほしかった」という感想を漏らしていて確かに状態になりました。

初見での理解の限界


劇場化にあたって初見の声優ファンなど誰にでも観てもらえるBLAME!という路線で原作ファンならニヤリとしてしまうカットを入れながら攻めていったBLAME!ですが、それでも107分の作品に纏めるあたって、初見だと理解できるかはギリギリであったと思います。最後の統治局との対話のキーシーンは映像的には原作のオマージュですが統治局の発言を理解できるかは少し難しい気もする。僕の友人である『BLAMEは原作終盤につれてセリフがなくなっていくことしか知らない』人と観に向かいましたが、『なんとなくその世界観を体験できた』という感想でした。いきなり生身の人間に上位セーフガードが複写され集落を襲い掛かるのは超展開に感じ取れるかもしれない。

 

現に映画レビューサイトをみていても「これはBLAMEではない」「どの層の為の映像作品なんだ?」という厳しい意見も一定数ありました。難しいですね。

難解な作品を咀嚼しての映像化における限界というものがあるのかもしれません。

 

3:その他 and so on…

先述しました映画.comのレビュー評価はそのクオリティが評価されて現在3.8点とあがってきております。実際、「劇場版BLAME,めっちゃBLAMEしてた」など総合的な出来を評価するファンも体感多いですね。

 BLAME! THE ANTHOLOGY

今回の劇場化に伴って出版されたBLAME! THE ANTHOLOGYではどの物語でも珪素生物が登場して物語を彩っています。余談ですがアンソロ収録作品のうち僕は小川一水先生の 「破綻円盤 ―Disc Crash―」がとても好きです。良い話。

 設定資料集

また、作中の違和感の一部も先日発売されたBLAME 弐瓶勉かき下ろし設定資料集で説明されています、これを読んでいて改めて脚本完成前まで作品のミーティングに顔を出していたという今作の弐瓶先生の熱量が伝わってきます、熱い。

 ネットスフィアを900円で食べてきた

また、先日ですが「ありがとう....麺処まるわ」でお馴染みの麺処まるわさんでBLAME!公開記念、ネットスフィアラーメンを食べに向かいました。初めての分子ガストロノミー料理をまさかラーメン店で食べるとは思っていませんでしたが、本当においしかったです、イワシと黒ゴマから作ったというシャキサクもサクサクしておいしかったです。店主さんも僕がBLAME!好きだと察したのかBLAME!への想いついて語ってくれました、本当にいい話。

 

 

 

ありがとう....麺処まるわ、ありがとうBLAME!...

 

新装版 BLAME!(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 劇場版「BLAME!」 弐瓶勉描きおろし設定資料集

劇場版「BLAME!」 弐瓶勉描きおろし設定資料集

 BLAME! THE ANTHOLOGY (ハヤカワ文庫JA)
 CGWORLD (シージーワールド) 2017年 06月号 [雑誌]

CGWORLD (シージーワールド) 2017年 06月号 [雑誌]

 

*1:資料集 BLAME and so onでは結構説明されていてホェ~状態になりました

*2: http://www.gizmodo.jp/2017/05/blame-hiroyuki-seshita-interview.html https://netallica.yahoo.co.jp/news/20170515-05593199-akiba あたり参照

*3:設定資料集を読んでみると出そうか悩んでいたことが分かります